飛騨の大人ならみんな知っている「めでた」。
実は飛騨の文化と密接で、いろいろなルールがある「めでた」。
みなさんは知っていますか?
今日はいつか参加するかもしれない「めでた」のお勉強です!
「めでた」とは飛騨地域での祝い唄で、正式な宴会で歌われるもの。
祝い唄はいろんな地域にありますが、飛騨では「めでた」と呼びます。
職場の懇親会とか地域の大きな集まりや、昔は結婚式でも披露されることもありました。
歌詞は「めでためでたの若松様よ 枝も栄える 葉も繁る」という短いもので、出だしを歌い出す代表の方に続いて、みんなで合唱します。
飛騨の宴会には、“「めでた」が出るまでは席を立ってはいけない” というルールがあって、それまではお酒を注ぎに行くのも禁止です。
これには、出された料理に感謝してしっかりいただくとか、悪酔いしないようにまずは食事をするとか、隣が初対面の人でも交流をもつとか、いろいろな意味があるそう。
「めでた」の文化を知らないと、急に厳かな雰囲気になって合唱が始まるのでかなりびっくりします。笑
「めでた」は飛騨地域の中でも多少の違いはあるけど、「高山めでた」を歌う町が多いです。飛騨の中にも「めでた」がない地域もあります。
そして飛騨市の「めでた」はさらに独特。
古川の「めでた」は「若松様」と呼ばれ、先ほどの歌詞を歌い終わってこれで終わりだなーと思ったところから転調し、また歌が始まるんです。
厳かな節が一気に明るいものになり、手拍子をしながら明るい雰囲気で歌います。
この明るい節の部分は「ぜんぜのこ」といい、40番以上もあるそう!
歌い出しを歌う人が何番を歌うか決めて歌い始め、それを聞いて他の人たちは後に続きます。
順番通り歌う必要はなし、約40番の中からだいたい3つくらいピックアップして歌われます。
つまり百人一首みたいに、みんな歌詞を覚えているんです。
出だしだけ聞いて、「まずは9番か~!」という風に歌い続く。
これってすごくないですか?
古川人の条件反射なんですね~。
さらに古川に「若松様(めでた)」が浸透している理由としては、古川祭で「ぜんぜのこ」が歌われるから。
祭の時に祝い唄で士気を高めていく姿を見て、古川の人たちに脈々と受け継がれていくんですね。
【起し太鼓記事】
古川流の英才教育なのかもしれません。
隣の神岡町では「めでた」のことを「みなと」と呼びます。
神岡町にはかつて東洋最大といわれた神岡鉱山があり栄えたことは有名ですが、それ以前は材木で生計を立てていました。
材木を高原川に流し、途中で「湊」と呼ばれる場所に一旦引き上げ、そこからさらに筏を組んで下流の富山県の方へ流していたそう。
その時、湊に無事木材が着いたことを祝って祝い唄を歌ったそうで、「みなと」と呼ぶという説があります。
高山や古川に比べると曲調が少し暗めな印象です。
「めでた」という文化がすでに独特なのに、さらに地域によって違ってくるのは奥が深い・・・
方言のようなものですね。
ここまで読んだ方、気になってきたんじゃないですか?
Youtubeなどで見ることが出来るので、ぜひ調べてみてください!