駅前のスーパー・マーケットで夕食の買物を済ませる頃になってやっと雨が降り始めた。目に見えぬほどの
細かな雨だったが、足もとの舗道は少しずつ雨の灰色に変わりつつあった。 僕はバスの時刻を 確かめてから近
くの喫茶店に入り、コーヒーを飲んだ。喫茶店は混みあっていて、そこには今度こそ本物の雨の匂いがした。
ウェイトレスのブラウスにも、コーヒーにも雨の匂いがした。
『1973年のピンボール』村上春樹 講談社 1980
小説の世界を勝手に飛騨市の中に探す飛騨市図書館との共同企画「HIDA BOOK TRIP」。
1番最初に辿る本の世界はやっぱり有名な作家さんじゃないと。
ということで「ハルキストと歩く飛騨の彼の巡礼の旅」と称して村上春樹さんの世界を飛騨市に見つけて行きます。
お気に入りの喫茶店やカフェがあるだけで、この町にまた来ようって動機になると思います。
観光地らしい観光地を巡るのはもちろん楽しい。
けどその間に少し休憩をするような、次の目的地を決めるような時に立ち寄った場所が素敵だと、その旅自体の満足度がとっても変わってくる気がします。
後から思い出すのは、意外とそんな場所だったり。
ラバーソウルが流れてそうな喫茶店とか、ピンボールが置いてありそうな年季の入ったバーとか。
それからお店の人とか地元の人と話してみるのも旅のおもしろいところ。
地元民が勧めてくれる場所ほど間違いない情報は無い気がしています。
方言とかイントネーションとかでも、なんとなくその土地の空気感が分かるような。
まだまだ人ごみに行くのは少し憚られるこんな時。
旅行という大掛かりなものよりは、ちょっとだけ遠くに行くような気持ちで飛騨に遊びに来てみませんか。
小説の中に出てくるような身近でどこにでもあるけど、実は特別な場所を発見できるかもしれませんよ。
テイクアウトでコーヒーを飲みながらゆったり散策したい方にはこちらも。
この小説の世界感が気になった人はぜひ読んでみてください。
なんと近くの図書館に『1973年のピンボール』ないかなーって探せちゃうサイトが!
カーリルという、日本最大の図書館蔵書検索サイトでは、リアルタイムであの本が借りられるかチェックできます。
本を読みながら飛騨に遊びに来るという、ずぶずぶに浸りながらの旅も良しです。
買って読んでみたい方はこちらからも。