僕はあわてて網棚から二人ぶんの荷物を下ろすと彼女の肩を何度か叩いて起こし、列車を降りた。プラットフォームを吹く風には既に秋の終りを思わせる冷ややかさがあった。太陽は早くも中空を滑り下りて、黒々とした山の影を宿命的なしみのように地面に這わせていた。方向を異にするふたつの山なみが町の眼前で合流し、マッチの炎を風からまもるためにあわせられた手のひらのように町をすっぽりと包んでいた。細長いプラットフォームはそびえたつ巨大な波にまさにつっこんでいこうとする貧弱なボートだった。
我々はあっけにとられて、しばらくそんな風景を眺めていた。
『羊をめぐる冒険』村上春樹 講談社 1982
飛騨はどこにいても視界には山が入っていて、まさにすっぽりと包まれているよう。
電車や車に乗って飛騨に来るには、どこから来ても山を越えてくることになります。
その山に入ってくる感じが、遠くまで来たなあと感じさせるんだと思います。
電車も基本的には1時間に1本くらいしか来ません。
圧倒的に車社会だからなー。
人が住んでいる場所より圧倒的に山の面積のが多くて、高校生くらいになると「遊ぶとこないなー」とか「山しかないなー」って誰もが言うけど、だからこそ知り得ることって多いんだなあと大人になってから気付くような。
木々が色づいたり花が咲いたりして季節の移り変わりを感じたり。
自然の植物の色ってこんな風だって憶えていたり。
野生の動物の鳴き声を知っていたり。
必要じゃないけど、知っていると少し心が豊かになるようなちょっとしたことです。
飛騨地方は昔から避暑地として知られていて熱帯夜もなく、お盆頃を過ぎると一気に涼しくなります。
また冬場は底冷えするような透き通った寒さで、風が吹きつけるような寒さは無いです。
慣れたら意外と過ごしやすい・・・かも。
それもこれもきっと、山に囲まれている地形が関係ありそう。
その土地だからこその遊びを楽しめるのって素敵ですよね。
気軽に登れる山とかスノーアクティビティとかキャンプとか・・・
「これをしに行くんだ」っていう楽しみ方が飛騨にはたくさんありますよ。
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