毎年4月の第4土曜日に行われるのが、高山祭、古川祭と並ぶ「飛騨の三大祭」のひとつである神岡祭。
神岡祭は、二社一宮(にしゃいちぐう)の合同のお祭り。
大津(おおつ)神社、白山(はくさん)神社、朝浦(あそら)八幡宮の春祭りが同日に行われ、これを総称して神岡祭と呼びます。
それぞれの神社では朝に献幣祭(けんぺいさい)を行い、正午に渡御(とぎょ)行列をして町に神様が下りてきます。
一番大きい大津神社の渡御行列は数百メートルにも及び、古式で厳かな行列は「時代絵巻」のようだと言われています。
神岡町はもともと、飛騨の中でも特に北陸の影響を強く受けている町。
なので同じ飛騨といっても古川町や高山市内のお祭りとは少し違って見えます。
神岡のレトロな町並みを行列が通る様子は混沌としていて、神岡らしいな~と感じます。
飛騨地方で闘鶏楽(とうけいらく)と呼ばれる鐘打ちも神岡では「鶏闘楽(けいとうがく)」、通称「とりげ」と呼ばれています。
頭に毛冠が付いているから「とりげ」なんかなー?
神岡祭にはいろんな役割の子どもたちがたくさん出演するので、それも見どころです。
個人的にお気に入りなのは「佐々郎(ささら)」。
この衣装、かわいくないですか?
「神岡の暴れ獅子」、金蔵獅子をこの佐々郎が退治します。
小さな子どもたちがする「奴社中(やっこしゃちゅう)」は白塗りに鎌ひげ。
ちなみに大人verは「徒士社中(かちしゃちゅう)」と呼び、将軍の警護をしていた武士に扮しています。
舞姫も素敵。舞の種類によって、白と緑の衣装を使い分けて踊ります。
神岡って「同級会」という文化が根強くあるんです。
昔から神岡鉱山へ東京本社や富山など他の地から働きに来る人が多かった神岡。
地元の人もよその人も含め「同い年やで仲間やな!」と受け入れる文化があったそう。
そういった歴史があり、自分たちの代に名前を付けて「○○会」と呼ぶなど同級会には深い絆があります。
そんな同級会で担ぐのがこの神輿。
厄年、後厄、還暦でそれぞれの神輿を担ぎ、渡御の時は厳かに、夜の還御(かんぎょ)では祝い唄である「高い山」をみんなで歌いながら進みます。
担ぐのは男の人達だけだけど、この時には女の人たちも入ったりして肩を組んで歌う様子もよく見ます。
こういうところにも神岡の歴史が見えるような気がして、知れば知るほどおもしろいのが神岡祭です。
大人から子どもまで総動員で、昔ながらなのに独特な神岡祭。
ぜひ深く知っていただきたいお祭りです。